結納飾りの意味
その2(関西編)です。関東と関西では基本的な結納飾りに込められた意味合いは同じですが、名称なども微妙に違いますので、説明をしてみます。
茂久録
関東ではそのものずばり「目録」とするところ関西では当て字で「茂久録」とすることが多い。結納品の品目と数を記した、いわゆる明細書のようなものという点は関東と同じながら、関東では結納品の1品として数えるが、関西ではあくまでも明細と考え品数にカウントしない。
熨斗
あわびの肉を干して伸ばしたもの、関東のように”長熨斗”(ながのし)という言い方はせず、「熨斗」(のし)と言います。意味合いは関東同様”長く延ばす”の意味も込められていることから、ご縁が長く続きますようにという意味と、不老長寿の象徴ともされています。御祝い事には必ず添えるものとなっています。
この上には”鶴”の水引飾りを乗せ、「幸せを持って 空から舞い降りてくる」鶴の姿に幸多かれと願いを込めています。
福槌
熨斗おさえとして、熨斗の上に置く打出の小槌のことをおめでたい意味を込めて「福槌」(ふくつち)と呼びます。一生お金に困らないようにとの願いを込めています。熨斗と一体で考えることも多いため、あえて目録には書かないことが多いが、品数の関係で偶数になるような場合は福槌も1品にカウントすることもある。
小袖料
結納金の意味。関東での「帯」に対して着物そのものを指す「小袖」と言います。もともと着物そのものを差し上げていた名残。一般の結納に当たる皇室の納采の儀において、白生地六反、つまり小袖を差し上げますが、それはまさに結納の原型ともいえる。一般に関西では「小袖料」、京都滋や滋賀では「帯地料」、東海では「小袖料」、四国や九州などでは「結納料」とすることが多い。
この上には”松”の水引飾りを乗せ、松のその姿から「長寿を祝うと共に松の緑のように永遠に栄えるように」という願いを込めています。
寿恵広
関東では「末広」と書くことが多いのに対して、関西では「寿恵廣」「寿栄廣」と書きます。白無地の扇一対。扇子は開いた姿に終わりがないことから、お喜びが末広がりに永遠に広がっていくようにとの願いが込められています。真っ白な扇子を利用することから”純粋無垢”の意味もあります。
関西ではかつては”扇子交換”という結納の以前に行われる儀式も存在していたことから関東以上に扇子(末広)に対する意識は高かったと言えそうです。
この上には”亀”の水引飾りを乗せ、亀のように「急がず休まず一歩一歩前進して幸せを築くように」という願いを込めています。
友白髪
麻を束ねたもの。ともに白髪になるまで仲睦まじくという意味。
高砂
関西では友白髪は高砂人形を意味する場合が多い。この高砂人形、おじいちゃんはクマデ、おばあちゃんはホーキを持っていますが、これは前を行くおじいちゃんのクマデでかき残したものを三歩下がって後ろからおばあちゃんが、そのかき残したものを集めるという、理想の夫婦像を象徴しています。
子生婦
こちらは関東と同じ字を使います。昆布。子宝に恵まれるようとの意味。「よろこぶ」とも言われます。結納返しや婿養子様の結納では「幸運夫」と書くことがある。
寿留女
こちらも関東同様同じ字を使います。かめばかむほどに味の出るするめ、年月を重ねるごとに素晴らしい女性になって行ってほしいという願いを込めています。また保存が利くことから幾久しくご縁が続きますようにという意味もあります。
結納返しや婿養子様の結納の場合はスルメの代わりにカツオが使われることも多い。
柳樽料
酒料の意味。関東での「家内喜多留」に対して、関西では、酒と魚を別々に分け、酒料のことを「柳樽料」(やなぎだるりょう)と言います。
この上には”竹”の水引飾りを乗せ、竹のその姿から「節度・潔白 まっすぐな成長を祝う」という願いを込めています。
松魚料
魚料の意味。関東では酒料としての「家内喜多留」だけなのに対して、関西では、酒と魚を別々に分け、魚料のことを「松魚料」(まつおりょう)と言います。
この上には”梅”の水引飾りを乗せ、梅のその姿から「春に先駆けて寒さの中、実を結ぶように忍耐強くあれ」という願いを込めています。
よくある質問
Q:寿留女・子生婦は女性に対してのこと?
「寿留女」の意味は、素晴らしい女性でいてほしい、といった意味であることと、また”女”という字が入っていることからも女性に対して使う品目。ですから、結納返しや婿養子様の場合はスルメのもう一つの言い方「當目」という字を使う方法があります。
また「子生婦」の意味も子宝に恵まれるようにですが、やはり婦人の”婦”の字が使われていることから、こちらも女性に対して使う品目。こちらは男性に対しては「幸運夫」”幸せを運ぶ夫”という字を使う方法があります。
単なる言葉遊びとも言えないこともないですが、結納品は願いを託す品。それゆえ意味合いのある文字を使うべきではないでしょうか。
Q:酒と魚は一緒でも良いですか?
関西では本来は別々のものとして考えますが、例えばコンパクトな略式結納の場合は酒と魚を一緒にして「酒肴料」(しゅこうりょう)とすることもある。
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この記事を監修してくれた人
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結納ドットコム、ウェブマスター
1996年のホームページ開設以来20年間で年間平均1200件のべ2万件を超える結納品の通販実績を誇る。
時代のニーズに合ったスマートな結納の企画・製造・販売を手がける傍ら、冠婚葬祭に関するアドバイザーもつとめる。冠婚葬祭で悩める人々の救世主となることが第一の目標。
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